練馬の保育園民営化裁判追っかけ隊

練馬区立光が丘第八保育園の委託化をめぐって提起された、住民訴訟の記録です。練馬区のやり方は、理不尽にもほどがある!

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東京地裁判決(要旨);保育の質の低下について

明けましておめでとうございます。

判決文のご報告が年をまたいでしまいました。
今回は、保育の質の低下に関する部分です(認定事実の引用以外は、原文を笠本がそのまま打ち直しました)。裁判所は、保育の質が下がったという事実を認定しながら、それは移行期に伴う一時的な混乱であると断じています。


原告らは、民間委託化後の光八保育園では従前と比べて保育の質が低下したとして、光八保育園の運営業務の受託事業者としてピジョンを選定したことに志村区長の裁量権の逸脱又は濫用がある旨主張する。
しかし、練馬区ないしその長である区長は、光八保育園だけでなく練馬区全体の保育行政及び福祉行政を含む区政に関するさまざまな施策を限られた予算を適正かつ公平に配分して実現していく必要があるところ、前述のとおり公の施設である区立保育所の設置、管理及び廃止については特別区ないしその長の裁量的判断にゆだねられているのであるから、上記の限られた予算を、光八保育園の従前の保育の質の水準の確保のために充てることで定員の増員等の待機児童解消対策や延長保育、一時保育等の新たな要望に対するサービスを断念するか、それとも光八保育園の従前の保育の質がある程度低下することとなっても、上記のような対策や新たなサービスの拡充のために充てるかについては、その保育の質の低下が著しいものとならず、一定の保育水準が確保されているということができる限り、練馬区ないし志村区長の裁量的判断にゆだねられているというべきである。
そして、確かに、前記認定事実によると、ピジョンは本件17年度委託契約の仕様書における職員の異動を限定する旨の条件を遵守することができず、練馬区から改善勧告を受けていること(認定事実の引用)、本件17年度委託契約後の光八保育園においては、事故報告数が増加し、練馬区及びピジョンも従前の光八保育園の保育の質を下回っているとの認識を示していること(認定事実の引用)が認められ、本件17年度委託契約後の光八保育園における保育の質が従前の光八保育園の保育の質を下回っていたことは否定できないものの、光八保育園には本件17年度委託契約後も平成17年度の終了まで従前の練馬区の職員のほぼ全員がフォローとして残って保育に当たっていたこと(認定事実の引用)、練馬区はピジョンの職員に対して障害児統合保育や乳児保育についての研修を充実させ、保育の質の確保に努めていること(認定事実の引用)、ピジョンは練馬区による改善勧告に対して早急に対策を講じ、職員の補充を行ったことを報告するとともに、マネジメント体制の確立等を内容とする一定の改善策を提案していること(認定事実の引用)、光八保護者の間からはピジョンの現場の職員に対して、その努力を評価し、感謝する声も出るようになるなど、職員と光八保護者の間で一定の信頼関係が形成されつつあったということができること(認定事実の引用)、平成20年1月末の時点での光八保育園の入園希望倍率は、区立保育所全体の倍率を大きく上回っており、利用者からの評判も高いことがうかがわれること(認定事実の引用)も考慮すると、光八保育園における上記のような事故報告数の増加や保育の質の低下は、民間委託化という移行期に伴う一時的な混乱であったと認めるのが相当であり、本件17年度委託契約後の光八保育園においても一定の保育水準が確保されており、保育の質の低下が著しいものであったと認めることはできない
したがって、原告らの上記主張を採用することはできない。
そして、以上に検討したところに加え、光八保育園のピジョンへの委託に当たっては、引継ぎ期間として本件準備委託契約に係る3箇月の期間が設けられ、週単位で具体的な引継ぎのスケジュールが定められていたこと(認定事実の引用。なお、証拠(乙13)によると、選考して保育所の民間委託化又は民営化をした自治体が引継ぎ期間を3箇月とした事例において、特段の問題が生じなかったことがうかがわれる。)、ピジョンへの委託後も、平成17年度中の残り4箇月間は練馬区の旧職員のほぼ全員がフォローとして光八保育園に残るなど、ピジョン及び光八保育園の状況に応じて、練馬区の職員による十分かつ柔軟なフォローや指導及び監督が予定されており、保育の質の低下を防ぐことを意図し、そのための方策が採られていることが予定されていたということができること(認定事実の引用)、ピジョンへの委託後も、練馬区、光八保護者及びピジョンが参加する対策協議会の継続が予定されており、上記の指導、監督に当たっては、光八保護者の意見を十分取り入れることが予定されていたこと(認定事実の引用)なども考慮すると、光八保育園の民間委託化に当たっての練馬区の方策が著しく不十分であったということはできず、また、ピジョンが光八保育園の受託事業者としての適格を有していなかったということはできないのであって、光八保育園の運営業務の受託事業者としての、選定会議によるピジョンの選定及びそれを前提とする志村区長によるピジョンの選定に重大な瑕疵があったということはできない。そうすると、上記各選定を前提とする本件準備委託契約及び本件17年度委託契約は、志村区長の裁量権を逸脱し、又は濫用してされたものということはできない。
したがって、本件準備委託契約及び本件17年度委託契約は、いずれも適法であるというべきである。


笠本はこう思う!

(1)一時保育や延長保育などのサービス拡充と、保育の質の確保は、二者択一か?
こんなことは確か、被告でさえ言及していなかったと思います。それを裁判所がここまで踏み込んで判断していることに、原告らは驚いています。しかもその中身が「サービス拡充と保育の質のどちらを取るか」という、実に単純な二者択一論だったことは、さらなる驚きでした。
僕は、一時保育にしろ延長保育にしろ、保育の質というしっかりした基盤があって初めて成り立つものだと認識していました。予算の制約はあるにせよ、一番基礎にあるものをブチ壊して新たなサービス云々という話にはならないはずです。
さらに判決が、「保育の質の低下が著しいものとならず、一定の保育水準が確保されているということができる限り」は区長の裁量の範囲内だと言及している点にご注目ください。つまり「少々保育の質が低下してもいいんだ、そこそこの水準だったらいいじゃないか」と言っているのです。あの練馬区でさえ、このような開き直りを見せたことは一度もありません。

(2)保育の質の低下は、著しいものではなかったのか
裁判所は、17年度契約中に保育の質が低下したという事実を、認めざるを得なかったようです。問題は、その程度です。裁判所は、フォローや研修の実施、改善勧告を受けてのピジョンの改善策、一定の信頼関係、入園倍率などから、その低下が著しいものではなかったと判断しました。
ピジョンの改善策は、練馬区が尻を叩いて書き直させたものです。「一定の信頼関係」について、被告側は具体的な事実を示していません。入園倍率については、光八は駅前の立地で、もともと倍率が非常に高い園でした。委託後、一時的にしろこの園に空きが生じたという事実は、事情を知る当時の人たちにとっては衝撃的なニュースでした。転園も増えました。
裁判所は見るべき点を見ずに表面上の数字だけを採用し、被告の作文を鵜呑みにし、このような結論を導きました。
光八を転園したお母さんが「戦火を逃れてきた親子のよう」だと表現した混乱を、移行期に伴う一時的なものであって、なおかつ「一定の保育水準が確保されて」いると評価してしまっていいのか。あの混乱が著しくないのなら、どんな混乱が著しいのか
百歩譲って一時的な混乱だと認めたとしても、その混乱の渦中に放り込まれた子どもたち、親たちはどうしてくれるんだという点については、なんら言及はありません。

(3)そもそも「保育の質は下げない」というのが、練馬区と保護者との約束ではなかったか
判決ではこの点について、まったく言及されていません。
保護者との約束など、いくら破っても「裁量の範囲内」だと裁判所が判断している訳ですから(6.25合意違反の記事)、行政は口先で「保育の質は下げませんよ」とさえ言っておけば、どんな結果を招こうが責任を問われることはない、ということになります。

(4)混乱は、容易に回避できたはず
判決では、練馬区が講じた方策が著しく不十分とはいえないので、裁量権の逸脱・濫用とはいえないと判断しています。ところが、最も核心的な方策については、判決は何も述べていません。つまり、混乱は十分に予測可能だったこと、もう少し計画を延期して2006年4月からにするだけでも、状況はずいぶん緩和されていたであろうこと、そしてそれは十分に可能な措置であったことです。光が丘第4保育園や高野台保育園での相次ぐ「選定なし→1年延期」という措置を見ても明らかです(これはこれで委託計画に無理があることの証左ではあるのですが)。
要するに、混乱は容易に予測できたし、容易に回避できた可能性が少なからずあるのです。なのに練馬区はそれをしなかった。これだけをとっても、練馬区の講じた方策は著しく不十分だと僕は思うのですが、裁判官は違ったようです。

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笠本

Author:笠本
原告の一人でした。裁判の結果は僕たちが望むものではありませんでしたが、一方で、信じられないくらいたくさんのご支援・ご声援をいただきました。本当にありがとうございました。僕たちの足跡が、今後同様の問題に悩む保護者のみなさんに、少しでもお役に立てればと思い、このブログを記録として残します。

ぜひ読んでください!

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