練馬の保育園民営化裁判追っかけ隊

練馬区立光が丘第八保育園の委託化をめぐって提起された、住民訴訟の記録です。練馬区のやり方は、理不尽にもほどがある!

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現場の混乱と安易な契約更新

平成17年度契約期間中(12月1日~翌年3月31日)、4ヶ月という短期間に、計8名のピジョン職員(常勤保育士)が次々と退職していきました。これは全保育士の3分の1に相当する人数です。

志村区長はこの事態を受け、3月17日にピジョン株式会社に対し改善勧告を出しました。翌週24日にはピジョンから改善策が提示されたのですが、それは練馬区自身が「原因の分析が現象面に留まっている。対応策も弱い」と評さざるを得ないものでした。

改善の兆しが見えないにもかかわらず、志村区長は4月1日、同社と平成18年度契約(4月1日~翌年3月31日)を締結しました。

つまり志村区長は、第一次選定を覆して無理矢理ピジョンを選んでおいて、そのピジョンに自ら改善勧告を発したのです。そして自分が改善勧告を出した相手方と、次年度の契約を結んだのでした。

以下に詳述します。
事実関係

(1)ピジョンによる債務の履行

志村区長はピジョン株式会社と、平成17年8月30日に準備委託契約を、同年11月30日に平成17年度契約を締結し、同社はそれぞれの契約にもとづき債務の履行に着手しました。

17年度契約仕様書の「4 委託の趣旨」には、光八の運営業務を民間事業者に委託することにより、区として確保しなければならない保育の水準を持続的に維持するとともに一層の保育サービスの向上を図る旨が明記されてました。

17年度契約の開始により、光八の開園時間が、延長保育時間も含め、午前7時30分~午後7時30分だったものが、午前7時00分~午後8時30分に延長されました。

12月1日、ピジョン株式会社は、前日まで光八に勤務していた練馬区採用の短時間職員全員を継続雇用せず、同社の常勤職員を中心に勤務シフトを回し始めました。

平成18年3月4日の第29回対策協議会で、練馬区およびピジョン株式会社は、1月中にピジョン職員の1人が、2月末までに2名が退職し、3月31日までに、退職者は累計8名に上る見通しであることを明らかにしました。

その原因として練馬区は、2点を挙げました。

a)厳しいローテーション
直営時より非常に朝早く、夜が遅いという厳しい労働環境の中、常勤職員だけでローテーションを回していること。ローテーションが極めて厳しい状態にあり、常勤職員に多大な精神的肉体的負担をかけていること。それは、朝夕の保育を補助する短時間職員の確保が進まず、その分常勤職員に負担が回ったことが理由と考えられること。

b)園長の管理能力、ピジョンの組織的な支援体制の問題
園長は朝晩の職員の負担が過重になっている現状から、自ら当番に入ることを日常的に繰り返しており、園運営に割くべき労力が奪われる一方、園長自身にも過大な精神的肉体的負担がかかったこと。ピジョン株式会社がこのような園の現状に対し、何ら具体的な方策を取れなかったこと。

 これらはいずれも、園長や保育士各人の資質や能力の問題ではなく、ピジョンという法人そのものの保育業務運営能力に関わってくる問題です。

練馬区およびピジョン株式会社は同協議会の席上、光八の保育水準を維持するという趣旨からして、現状が下限を下回っているとの認識を示しました。

(2)改善勧告

17年度契約仕様書20の2には、在園児との関係を重視し、年度途中での職員の交代は原則行わない旨、雇用の継続性を最大限考慮すべき旨が記載されています。また年度内で3名を超える常勤保育士の異動があった場合は、区長が改善勧告を出す旨、明記されています。

同年3月17日、仕様書の規定にもとづき、志村区長は同社に対し改善勧告を出しました。勧告では、改善項目として、「多数の退職者を出すに至った原因を究明し、これ以上同じ原因による退職者を出さないこと」など4項目が列挙されていました。

これを受け、同社は3月24日に改善提案を被告に提出し、翌日の第31回対策協議会にその内容を報告しました。同協議会の席上、練馬区は「状況分析が現象面に留まっている。対策として(アンケートだけでは)弱い」など、その内容に不満を表明しましたが、一方「これはこれで受け止め、一層の改善を求める」と、契約継続を示唆しました。

また園長が3月20日から長期療養中であり、主任がその業務を代行していることが、同社から報告されました。

志村区長は4月1日、同社と平成18年度契約を締結しました。

3月31日まで、以前光八に勤務していた練馬区の職員ほぼ全員が、フォロー職員としてとどまっていました。4月以降5月末まで、そのフォロー職員は4名となりました。

(3)4月以降の状況

4月8日、被告は光八保護者を対象に説明会を開き、療養中の園長が退職したこと、そして区立保育園で長年園長を経験してきた人物が、ピジョン株式会社の職員として新園長に就任することを報告しました。新園長は第一次選定の際、選定委員を務めた人物です。同社は、この人物を指名したうえで志村区長に仲介の労を請い、区長が直々に新園長就任を要請したものです。

5月20日、第33回対策協議会で、光八の前園長で4月から支援調整係長に就任した人物が、現状を報告しました。それによると、0歳児クラスではフォロー職員が実際に保育要員となり、赤ちゃんの抱き方から食事の与え方、ミルクの与え方など基本的な事柄を実際にやって見せ、ピジョン職員を指導した旨、5歳児クラスには個別に心を受け止めてあげねばならない園児があり、すぐには改善しない見通しである旨などが報告されました。

5月末の時点での退職者は、常勤保育士2名、短時間保育従事者2名、事務1名、調理1名、園長1名の計7名でした。8月26日の第36回対策協議会では、練馬区ならびにピジョンの双方から、病気療養中扱いの職員が3名いることが明らかにされました。

光八からの転園者は、4月8名、5月3名、6月1名で、9月末現在で7名の転園希望者がいることが明らかになっています。

10月6日、被告は、光八を含む委託園3園の在籍者が委託園以外への転園を希望する場合、調整指数において配慮する旨、区立園全保護者に通知しました。

論証

光八委託契約は、違法で無効な第二次選定にもとづくものですので、そもそも無効と評価されるべきです。ですが仮に有効であったとしても、ピジョン株式会社による17年度契約の債務履行は、債務の本旨に従ったものとは言えず、債務の不完全履行であるとの評価を免れません。

直営時の光八の保育水準を維持することは、過去の対策協議会で保護者代表が再三要求しており、被告もその都度、了解していました。そういった経緯等を考慮すれば、17年度契約仕様書の「4 委託の趣旨」にある通り、区として確保しなければならない保育の水準を持続的に維持しながら一層の保育サービスの向上を図ることが、同社が担うべき債務の本旨であったと考えられます。

しかしながら同社は、人員配置の不手際等により、現場の職員たちに過重な負担を強いることとなり、またその負担を軽減し、園運営を改善する有効な方策をとることができず、結果として12月初めから3月末までに8名の常勤保育士を退職させるに至ったのです。

練馬区および同社双方が、現状が本来維持すべき光八の保育水準を下回っていることを認めています。また改善勧告に伴い同社から提出された改善提案について、原因の分析や対応策について、練馬区は不満を表明しています。つまり同社が債務の本旨に従った履行ができていないこと、および今後の履行についても厳しい見通しを持たざるを得ないことを、練馬区自身が認識しているのです。

このような状態の中、実際に園児の精神状態に深刻な影響があったことが、5月20日の対策協議会で報告されています。

練馬区は同社の運営に関する問題点を、遅くとも3月4日までには認識しており、契約解除を含む現場の混乱収拾策を講じる時間的余裕が、なかった訳ではありません。

またこの時点ですでに常勤保育士3名が退職し、さらに職員5名の退職が確定していました。契約仕様書20の2の趣旨に鑑みれば、同項の「年度内に3名を超える異動」という規定に関わらず、この時点で改善勧告を発する理由が存在したと考えるべきです。にもかかわらず、志村区長は17日までそれを発しませんでした。

3月末までは直営時の区の職員が全員フォロー職員として残っており、4月以降の運営を一旦直営に戻す等の措置は十分可能でした。

それなのに志村区長は、契約解除等の検討をしないまま、同社と18年度契約を締結しました。

4月8日までに光八園長が退職しましたが、第一次・第二次選定において、園長候補者のヒアリングは大きなな要素を占めていることを考えれば、これは同社に対する評価の重要な一角が崩れたことを意味します。

しかも同社は自ら後任候補を準備することができず、志村区長に斡旋を依頼したのですが、これは、18年度契約を債務の本旨に従って履行するのが単独では困難という意思表示を、同社自身が発したもの解するべきです。

しかも同社が希望した人物は、第一次選定で「保育内容の質は高いか」という項目をはじめ、同社を厳しく評価していた元選定委員であり、練馬区の選定の内部事情を知り尽くしている人物です。同社が第二次選定における事業者ヒアリングの際、今後も練馬区内での受託を目指す意思を表明しているという事情を考慮すれば、志村区長による斡旋は、同社に対して、今後の区立園委託事業への参入に格別の便宜を図ったものと言わざるを得ません。

また改善勧告で「今後同じ理由での退職者を出さない」旨求められたにもかかわらず、同社はその後も園長や常勤保育士2名を含む7名の退職者を出しており、さらに病気療養中の職員が3名いることから、再度の改善勧告が出される寸前にあるといえます。

さらに4月以降の転園者が計12名、転園希望者が9名。練馬区が10月になって委託園在園者の他園への転園に便宜を図る方針を各園保護者に通知ました。

これらの事情を総合的に考慮するならば、新園長はじめ現場保育士の必死の努力により、園運営が表面上落ち着いてきたように見えるものの、債務の本旨に従った履行とはいえない状態が18年度契約期間中も続いていると考えるべきです。

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笠本

Author:笠本
原告の一人でした。裁判の結果は僕たちが望むものではありませんでしたが、一方で、信じられないくらいたくさんのご支援・ご声援をいただきました。本当にありがとうございました。僕たちの足跡が、今後同様の問題に悩む保護者のみなさんに、少しでもお役に立てればと思い、このブログを記録として残します。

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