練馬の保育園民営化裁判追っかけ隊

練馬区立光が丘第八保育園の委託化をめぐって提起された、住民訴訟の記録です。練馬区のやり方は、理不尽にもほどがある!

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第一次選定の経過

平成17年5月17日~6月26日の間に、選定委員会が応募事業者の審査を行い、「該当事業者なし」という結論を出しました(第一次選定)。

「9月委託という困難な事業を円滑に成し遂げられる事業者は、応募した中にはいなかった」という判断です。

この決定は、練馬区としての最終判断であったはずでした。

ところが練馬区はこれを不服とし、「該当事業者がいなかったのではない。選定委員会で意見が割れて、選定ができなかったんだ」と主張し始めました。

練馬区は「選定できなかったんだから、区の責任で選ぶ」と、「該当なし」とされた応募事業者を対象に、改めて選定作業をする(第二次選定)ことを表明しました。

以下に詳述します。
事実関係

(1)第一次選定の経過

練馬区は、光八の運営を委託する事業者を適正に選定するため、光八保護者との合意にもとづき、一次選定の機関である選定委員会を設置しました。委員の構成は、光八推薦の有識者3名、区立保育園園長経験者1名、練馬区健康福祉事業本部児童青少年部長の計5名でした。

委員会の議事は多数決によることが設置要領5条3項によって定められていました。

平成17年5月17日、選定委員会の第1回会合が開かれました。有識者委員の一人が、事務局を務める保育課長に「委員会の選定結果は拘束力を持つのか、それとも参考意見なのか」を質したところ、保育課長は次の通り回答しました。

選定委員会の判断と区の決定が齟齬するという事態は想定していない。選定要領に区長が決定するとあるのは、委託契約の当事者が契約上は区長になるという意味に過ぎない」。

この会合では、他に公募の有効性や9月委託先にありきの強引なスケジュール等が問題となり、紛糾しました。すると児童青少年部長は「これ以上やるのであれば、選定委員会のあり方を考え直さざるを得ない」と発言し、会の解体・再編成を示唆しました。

5月21日の第2回会合で、委員長は抗議の意思表明として委員を辞任し、外から被告の姿勢を正す道を選択しました。

欠員は、有識者委員の推薦により、5月28日の第3回会合までに補充されました。

委員会は6月26日までに8回の会合を開きました。その間、事業者によるプレゼンテーションや園長候補者に対するヒアリング等による評価を進めるほか、応募事業者が現に運営する保育園を現地調査しました。また、評価の前提となる光八の保育の質を確認するため、光八にも現地調査に訪れました。

6月11日の第13回対策協議会で、応募5社のうち1社が辞退したことが、練馬区から報告されました。辞退の理由は、保護者などに対して「事業者の都合」としか説明されませんでした。

選定作業は、過去の対策協議会で練馬区と光八保護者代表との合意の上で策定された「審査基準表」にもとづいて行われました。審査基準表は、現地調査の結果に比重が大きくなるよう策定されていて、次いで園長ヒアリングが重視されていました。

審査の結果は、総合点ではピジョン株式会社がわずかに優位でしたが、光八保護者たちが心配する現地調査での得点については、他の事業者と大差ありませんでした。中でも保護者たちが重視する「保育内容の質は高いか」という設問では、5人の評価者のうち児童青少年部長を除く4人全員が、40点満点中2点の評価しか与えませんでした。

過去の対策協議会では、光八保護者代表は「光八の現状の保育水準を維持すること」「子どもたちへの影響を最小限に食い止めること」を繰り返し求めていて、その都度、練馬区もそれらを約束していました。

6月26日、選定委員会の第8回会合で最終の選定作業が行われました。応募4社を五十音順に評価しました。はじめの3社については、職員配置計画の条件を満たしていない、障害児保育の経験が不足している、運営管理が甘く大規模保育園の運営経験が不足している、給食の衛生管理面の問題があるなど、応募要領の水準に達しているかどうかさえ問題にされたことから、事実上選定の俎上には乗りませんでした

最後の順番となった1社(ピジョン株式会社)については意見が割れました。児童青少年部長は現地調査に行った大田区立山王保育園などの受託実績等により、同社の適格性を認め有識者委員3名は目前に迫った9月委託を前提としては不適格と判断しました。園長経験者は、優良な事業者とは評価しきれないが、被告が万全のフォローを行うことを条件に、適格性を認めるという旨の判断をしました。

よって選定委員会は、3対2の多数決により、「該当事業者なし」という結論を出しました。

(2)被告による第一次選定の結論の歪曲

選定委員会は、その選定結果後6月30日までに、各委員の最大公約数的意見を「総括表」として一通の文書にまとめ、委員個々の意見を「補足意見」として添付したうえで、被告に提出することが取り決められていました。

しかし総括表のとりまとめは遅れに遅れました。最大の原因は、選定委員会の結論を「該当なし」あるいは「選定に至らず」のいずれを表記するかで、児童青少年部長と有識者委員3名の意見が対立したからでした。

7月11日、練馬区は、選定委員会の最終報告を待たずに、選定の結果を練馬区議会文教児童青少年委員会に報告しました。報告書面には、選定委員会の結論が「応募事業者に対する評価が分かれ、結果として選定に至らず」であったこと、同時に「事業者の選定については区の責任で判断する」ことが記載されていました。

同日夜、有識者委員3名は記者会見を開き、総括表に添付する予定だった補足意見をそれぞれ公表しました。それぞれの意見には共通して、選定委員会の結論が「該当なし」であったこと、その理由として、応募事業者すべてが選定基準(被告と光八保護者代表が合意済みのもの)のいずれかの要件に欠けることが明記されてありました。その他にも、光八の現行の保育水準(保育の質)を落とすことは許されないこと、大人の都合によって子どもたちに不利益を負わせる訳にはいかないこと、年度途中での委託は困難であることなどが共通して述べられていました。

翌12日、練馬区は庁内で記者会見を開きました。その内容は、前日に有識者委員が会見を開いたことへの批判と、被告自身の責任で事業者を選定する旨の今後の対応、事業者の選定は十分に可能との見通しの表明でした。記者説明資料には、会見時点で総括表の表現を巡って調整がついていない旨が記されていました。また「応募してきた事業者の中には、他区ですでに実績があり、外部の評価も高い事業者が複数含まれている」との認識を表明したうえで、「事業者の選定は、十分に可能」と主張していました。

7月19日には、被告が第二次選定を行う旨の説明会を開催しました。

「総括表」が「選定委員会報告」と名を変え、志村区長に提出されたのは、予定より3週間遅れの7月20日でした。同報告には、選定委員会の結論として、「いずれの事業者についても委託事業者として選定するに至らなかった」と記載されました。一方で「選定の最終段階において1事業者の受託適格をめぐって選定委員の間で意見が分かれ、議論を尽くしても委託を可とする意見は多数を占めるに至らなかった」という一文も盛り込まれました。

論証

a)選定委員会の審査は適正だったか?
選定が不適正あるいは不備があったと断ずるためには、同委員会に対して外部から何らかの圧力あるいは利益供与があったなど、個々の委員の自由な判断がゆがめられるような事情が必要だと思われます。
しかしながら、上記「(1)第一次選定の経過」に記したとおり、選定委員長が途中で辞任するという事態はあったものの、各委員はおのおのの見識にもとづき意見を述べ、判断をした形跡が窺え、不適正あるいは瑕疵と言えるような事情は存在しませんでした。

b)同委員会が最終決定をしたか
7月11日夜に有識者委員3名が「該当なし」というのが同委員会の結論であった旨を公表しています。また設置要領5条3項により、議事は多数決と定められていました。よって同委員会の構成委員5名中3名が「該当なし」と結論付ける以上、これがそのまま同委員会の結論だと形式的には判断していいでしょう。
また選定の内実においても、各委員は書面審査、園長候補ヒアリング、現地調査を実施したうえで、審査基準表に則って自己の自由な判断を点数化したものです。同時に、光八の保育水準を維持し、子どもたちへの影響を避けながら、9月委託という困難な事業を短期間で円滑になしえる実力を備えた事業者かどうかという判断基準の設定にも、特に不合理な点はありません。
その結果として、過半数の委員が「該当なし」と結論付けました。「1事業者の受託適格をめぐり議論を尽くしたが、委託を可とする意見は多数を占めるに至らなかった」のでです。よって同委員会は、実質的意味合いにおいても、事業者を選定できなかったのではなく、選定すべき事業者は応募事業者の中には存在しないという最終結論を導いたと評価できるし、またすべきです。

c)同委員会の決定が区長に対し拘束力を有するかどうか
第1回会合で事務局を務める練馬区職員が各委員に対して説明したとおり、同委員会の性格は、被告の判断を拘束しない諮問機関ではなく、最終的な意思決定機関であるというのが、児童青少年部長を含む委員全員の了解事項でした。法令や練馬区条例・規則等には、同委員会の決定が有する拘束力については何ら規定がありません。よって設置要領第9条により、同委員会は最終意思決定機関であるという全委員の了解事項が、そのまま委員会の性格となると理解すべきです。
また、志村区長自身もそのように認識していたと思われます。それは以下の事情によります。
どんな事業者でも選定さえしてしまえばいいと安易に考えていた志村区長は、同委員会の結論に慌て、委員であった児童青少年部長に対し、「該当なし」という結論を「選定に至らず」という表現にすり替えるよう命じました。この表現は、同委員会が「選定することができなかった」という印象があるからです。その「印象」を最大限に利用し、志村区長は受託適格のない事業者を対象に、第二次選定を行うことを正当化しようと、あらゆる手段を試みたのです。それらの具体例が、練馬区議会文教児童青少年委員会に対する報告に、選定委員会の最終報告が提出される前に「選定に至らず」という表現を盛り込んだ事実であり、翌日の記者会見で同趣旨の発表をした事実です。
これらの事実はそのまま、志村区長が選定委員会を被告自身が最終判断を委嘱した機関であることを示しています。なぜなら、同委員会が志村区長に参考意見を述べるだけの諮問機関であるならば、第二次選定を正当化するために上記のような姑息な情報戦術をもって同委員会の結論を貶める必要がないからです。

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Author:笠本
原告の一人でした。裁判の結果は僕たちが望むものではありませんでしたが、一方で、信じられないくらいたくさんのご支援・ご声援をいただきました。本当にありがとうございました。僕たちの足跡が、今後同様の問題に悩む保護者のみなさんに、少しでもお役に立てればと思い、このブログを記録として残します。

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